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においに関する法律「悪臭防止法」とは!?

臭いと法律・社会問題
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においは日常生活のいたる所に溢れているものですが、においに関する法律も定められています。それはズバリ、悪臭防止法。

この法律は一体どのような目的で作られ、私たちの生活にどう関わっているのでしょうか。

今回はにおいに関する法律「悪臭防止法」についてまとめていこうと思います。

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1.悪臭防止法ってどんな法律!?その概要について

悪臭防止法は、工場や事業場から排出される悪臭から住民の生活環境を守るために、昭和46年(1971年)に制定された日本の法律です。

1971年と言えば、日本の高度経済成長期(1954年~1973年)の終盤です。この時期は日本の経済が著しく成長した時期であり、たくさんの産業が事業の拡大を続けていました。

このため工場や事業場からの悪臭が問題となり、このような法律が制定されたと考えられます。

環境省が出している「悪臭防止法の手引き」パンフレットを見ると、表紙には「住み良いにおい環境を目指して」という言葉が掲載されています。

悪臭防止法の手引き パンフレット ⇒ http://www.env.go.jp/air/akushu/law_tebiki/

さらに環境省の公式HPの「悪臭防止法の概要」のページでは、この法律の目的として以下の言葉が掲載されていました。

悪臭防止法は、規制地域内の工場・事業場の事業活動に伴って発生する悪臭について必要な規制を行うこと等により生活環境を保全し、国民の健康の保護に資することを目的とする。

環境省「悪臭防止法の概要」 ⇒ http://www.env.go.jp/air/akushu/low-gaiyo.html

この法律が制定されたのは、今から45年も前の話です。日本の環境に対する意識の高さが、この法律にも表れていると思います。

 

2.そもそも「悪臭」とは何か?

悪臭かどうかの感じ方には個人差があり、線引きが難しい部分もありますが、基本的には人間が「不快な臭い」や「嫌な臭い」と感じてしまうにおいを意味しています。

上記の悪臭防止法の手引きでは、”「いいにおい」と思われるにおいでも、強さや頻度、時間によって悪臭と感じられてしまうことがある”と記載されています。

たとえ香水のような良い匂いであっても、それが強烈なものであれば悪臭となります。

法律の基準に該当するかどうかは別として、そのにおいに対して迷惑だと感じる人がいるとすれば、それは悪臭となってしまうのですね。

 

3.悪臭防止法における規制対象や規制方法について

悪臭防止法では、規制対象として「規制地域内のすべての工場・事業場」と定められています。

そして規制地域は、都道府県知事や政令指定都市、特例市、中核市、特別区の長が指定されているそうです。つまり、県知事や市長などが規制地域を指定し、その地域内に工場や事業場が規制されているのですね。

また、規制方法としては以下の2つがあります。

1.特定悪臭物質の濃度

2.臭気指数

臭気指数は数字で臭いの強度を表したもので、六段階臭気強度表示法では、0が「無臭」、5が「強烈なにおい」とされています。

そして実際に悪臭を出していると疑われた場合は、市区町村によって調査が行われます。

その後、改善勧告や改善命令が発動され、命令に従わなければ罰則が科せられる場合もあるそうです。

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4.悪臭防止法で定められている様々なルール

その他にも、悪臭防止法では様々なルールが設けられています。

悪臭事故が発生した場合の「通報義務」

規制地域の工場や事業場で基準値を超える悪臭事故が発生した場合は、すぐに応急措置を実施し、管轄の市区町村に通報しなければなりません。

特定の悪臭物質は、その濃度で規制されている

アンモニアや硫化水素、アセトアルデヒド、トルエン、キシレンなど、悪臭の原因となる成分はたくさんあります。悪臭防止法ではその1つひとつの成分に対して臭気強度と規制基準が定められています。

臭気指数による規制

悪臭の苦情に対応するため、平成7年に新しく導入された規制法です。悪臭の度合いを数値で表し、規制基準が定められています。

悪臭対策を怠ると、罰則が適用される。

工場や事業場は、規制基準を超える悪臭を出さないように、十分に注意して営業しなくてはなりません。悪臭対策を怠ったがために基準を超えてしまった場合、罰金や懲役が課せられるケースもあるそうです。

 

5.悪臭を発生させないための対策・予防策

「悪臭防止法の手引き」のパンフレットでは、以下のような対策や予防策も呼びかけられています。

1.臭い問題が発生しそうな場所がないかどうか、事業場周辺を調査する。

2.悪臭が発生した場合、その原因を究明する。

3.臭いものにフタをする、悪臭の素となる物を素早く片付ける、においが発生する時間帯を考慮するなど、悪臭改善対策を検討する。

4.悪臭を取り除くための「脱臭装置」の導入を検討する。

事業によっては、どうしても悪臭が出てしまうケースだってあると思います。だからこそ、このような悪臭を発生させない予防策を施すことが大切なのですね。

 

6.近年の悪臭の発生状況について

環境省からは、平成28年3月31日に「平成26年度悪臭防止法施行状況調査について」がお知らせとして発表されました。

http://www.env.go.jp/air/akushu/h26syusei.pdf

この資料を見ると「平成26年度の悪臭に係わる苦情の件数は13,136件であり、前年度と比べて656件減少した」と書かれています。

さらに、11年連続で苦情件数は減少しているそうです。

そしてこの苦情の内訳を見てみると、野外焼却が3,524件、サービス業・その他が2,117件、個人住宅・アパート・寮が1,484件となっています。

この内訳を見ると、お店や個人宅からの悪臭の苦情が、意外と多いことが解かります。

 

7.まとめ

いかがでしたか?日本では昭和46年に悪臭防止法という法律が制定され、各企業はしっかりと悪臭対策を施すようになってきました。

その企業努力は、決して一言では語りきれないぐらいのものがあると思います。

しかし、この法律は工場や事業場に対してのものであり、それ以外の場所からの悪臭問題も意外と多いことが解かります。

今後は住人やお店、そして細かい地域レベルでも、悪臭を出さないための取り組みが求められているのではないでしょうか。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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