臭気判定士(においに関する国家資格)とは、一体どんな資格なのか?
日本には仕事や趣味で役立つ様々な資格がありますが、「においに関する国家資格」があることをご存知でしょうか。
その資格の名前はずばり、臭気判定士(しゅうきはんていし)です。
悪臭防止法という法律に基づいて創設された国家資格であり、臭気判定士の資格を取得することで、臭気指数を測定する臭気測定法のオペレーターとして活躍することが可能になります。
実際の業務内容は悪臭の測定だけでなく、においの発生源の管理や、脱臭剤・消臭剤の効果の測定などあり、就職や転職にも役立つ資格です。
そこで今回は、各種資格の中でもめずらしい”におい”に関する資格「臭気判定士」について、その役割や試験概要についてまとめました。
臭気判定士の資格を取得しようと考えている方へ、ご参考にして頂ければ幸いです。
臭気判定士の役割とは?
世界には、約40万種類以上のにおい物質があると言われています。
このにおい物質が混じり合うことで、においの強弱が変化していきます。
このにおいがとても繊細なもので、機器を用いて測定するのが困難です。そこで開発されたのが「臭気指数」という尺度で、この指数でにおいに濃さを表すことが可能になりました。
また日本には悪臭防止法という法律があり、工場などから出る悪臭で近所の住民が困ることがないように、臭気指数による測定や判定を行っています。
しかしながら臭気を正確に測定するためには、一定のスキルや知識が必要不可欠です。
そこで誕生したのが臭気判定士の国家資格です。
この資格に合格するためには、嗅覚概論や悪臭防止行政、臭気指数の測定実務、分析統計概論など、様々なことを勉強し、一定の知識を保有しなければなりません。
そして晴れて臭気判定士になった人物が、悪臭やにおいについて正確な測定を行い、環境保全や周辺住民の安全へと役立てていくのです。
臭気判定士の国家資格を運営している「におい・かおり環境協会」
臭気判定士の国家資格を運営・実施しているのは、「公益社団法人 におい・かおり環境協会」です。
工場などの悪臭が社会的な問題となりつつあった1969年(昭和44年)に、前身である「悪臭公害研究会」が設立。
そして2年後の1971年に、悪臭防止法の法律が制定されました。
1987年になると、悪臭公害研究会から「社団法人 臭気対策研究協会」へ名称が変わり、認可を得ます。
そして1995年頃に臭気指数規制が導入されたことにより、国家資格の臭気判定士が誕生したそうです。
その後2003年になると、「社団法人 におい・かおり環境協会」と改名。2011年には社団法人ではなく、公益財団法人として認定されました。
臭気判定士の取得方法
臭気判定士の国家資格を取得するためには、毎年1回、11月中旬ごろに実施される筆記試験に合格しなければなりません。
筆記試験では嗅覚測定法だけでなく、以下の知識も必要です。
・人間の嗅覚生理について
・測定結果のまとめで求められる統計学
・悪臭防止行政や臭気対策
また初めて臭気判定士の国家試験を受験する場合は、臭気判定技術講習会を受けられるそうです。
さらに、臭気判定士の免状を受けて仕事に就くためには、嗅覚検査も受ける必要があります。
嗅覚検査は、臭気判定士試験が実施される前と後のどちらでも受けることが可能とされています。
筆記試験と嗅覚検査の2つの合格証書が揃えば、臭気判定士免状を申請できます。
臭気判定士の試験概要
最後に、臭気判定士の試験概要についてまとめました。
<受験資格>
試験日において18歳以上
<受験申込>
6月中旬~9月中旬
6月中旬から受験申請書が配布されます。
<受験料>
18,000円(非課税)
<試験地>
東京、大阪、愛知
<試験日>
11月中旬
<試験科目>
嗅覚概論、悪臭防止行政、悪臭測定概論、分析統計概論、臭気指数等の測定実務
回答はマークシート方式です。
<合格発表>
12月中旬
ホームページによる案内と、郵送により通知されます。
なお過去の合格率については、令和2年度が31%、令和元年度が25%、平成30年度が25%と公表されています。