口臭の原因が「胃」にあるケースとは!?口臭と胃の関係について
自分では大丈夫でも、話している相手を不快にさせてしまう「口臭」。
息が臭いと、それだけでコミュニケーションを避けられてしまう危険性もあります。顔を近づけて話をする機会がある職業であれば、それだけでお客様から避けられてしまうかもしれません。
口臭の原因は、口の中(口腔)にあるケースと、胃からくるケースの2パターンに分けられます。
今回は、口臭の発生源が「胃」の場合について、深く掘り下げて解説していきます。
目次
1.口臭の9割は口腔にあり!しかし・・・。
口臭の原因の9割は、口腔内にあると言われています。
つまり、10人中9人の口臭は、口の中にその原因が潜んでいるのです。
歯垢(しこう)、歯石、虫歯、歯槽膿漏(しそうのうろう)など、その原因となるトラブルは様々。口の中に何かしらの問題を抱えていると、それが口臭となって表れやすいのですね。
また、口は食道を通って胃と繋がっています。このため、胃に何かの病気やトラブルを抱えていると、口臭として出てしまうケースもあります。
胃が原因の口臭は”10人に1人”と言われると「自分は大丈夫かも?」と思ってしまいがちですが、この数字も意外とバカに出来ません。
例えば日本で1000万人の人が口臭を放っていたとします。上記の割合で言えば、そのうち900万人は「口腔(口の中)」が原因です。
そして、残りの100万人の口臭の原因は「胃」ということになります。
これって意外と大きな数字だと思いませんか!?
口臭を出している人はもともと絶対数が多いため、10人に1人と言えどあなどれないのです。
2.胃が原因の口臭は、かなり強烈です。
胃が原因の口臭は、口腔からくる臭いと比べてかなり強烈です。
例えるなら・・
○下水道の臭い。
○卵を腐らせたような臭い。
○使い古した雑巾のような臭い。
など、イメージしただけで不快になるような言葉で表現できます。
口の中からくる場合と比べて、胃からくる口臭は根が深いです。消化不良によって食べたものが異常発酵し、強烈なアンモニア臭を放つ危険性が高まります。
3.胃の臭いは、食道を通って口から出てくるわけではない
胃からくる口臭は「胃から食べ物の臭いが上がってくる」というイメージがありますが、これは正しくありません。
食べ物の通り道である食道と、呼吸を行う気管は、全く異なるものです。
食道と胃の間には、フタの役割を果たしている高機能な筋肉が備わっています。この筋肉は胃から嫌な臭いが漏れないように、しっかりと閉じられています。
食事中に食べ物が運ばれてきた時は開き、それ以外の時は臭い等を漏らさないようにピッタリと閉じてくれるのです。とても柔軟な働きをしています。
このため「胃の臭いが、食道を通って胃から排出される」ということは、基本的にありえないのですね。
4.胃の臭いが口臭となって排出されるメカニズム
では、一体どうして胃の臭いが口臭の原因になるの?という話になりますが、そのメカニズムは以下の通りです。
1.胃の病気やトラブルにより、食べたものが異常発酵する。
2.やがてアンモニア臭などの強烈な悪臭ガスを放つ。
3.悪臭ガスが胃の中で充満し、胃の壁を通る血液に取り込まれる。
4.取り込まれた悪臭ガス入りの血液が、全身を巡る。
5.肺に到達すると悪臭ガスの成分が気化され、呼吸した時に口や鼻から排出される。
においよし編集部でも、このメカニズムを知った時は本当に愕然としました。まさか、悪臭が血流に乗って排出されるとは、思ってもみませんでした。
ニンニクを食べた時は強い口臭が出るものですが、これは胃から直接出てくるわけではありません。ニンニクに含まれているアリシンという臭い成分が血液に取り込まれ、やがて肺を通って口から出てくるのです。
ニンニクを食べた翌日は口臭が気になるものですが、これはアリシンが血液を巡っている証拠です。このため、日頃から胃の調子を整えて早く消化させることも、大切になってくると思います。
5.口臭の原因となる「胃の病気」について
では、具体的にどのような胃の病気を抱えていると、口臭の原因となるのでしょうか。1つずつ見ていきましょう。
5-1.胃炎
胃炎は急性と慢性の2種類があります。
急性胃炎
激辛のものを食べた時や、感染症を起こした時、胃への刺激が大きい薬を飲んだ時など、急に起こる胃の炎症です。症状としては、キリキリとした胃の痛みや、嘔吐、吐き気などが上げられます。
食物アレルギーがある場合、アレルギー反応によって急性胃炎を発症することもあります。
急性胃炎は安静にしていれば、症状は少しずつ回復していきます。ただし、暴飲暴食によって急性胃炎を繰り返すと、やがて慢性胃炎に発展する危険性もあります。
慢性胃炎
急性胃炎と同様に胃の粘膜で炎症を起こしている状態で、これが慢性化したものです。
原因は過度のストレスや食生活の乱れ、コーヒーやアルコール類の飲み過ぎだと言われていますが、近年は「ヘリコバクターピロリ菌」も関わっていることが明らかになってきました。
急性・慢性胃炎のいずれの場合でも、まずは最寄の医療機関で診察を受けましょう。診療科目は、消化器科や内科が該当します。
5-2.胃潰瘍(いかいよう)
胃酸の影響によって、胃の粘膜に潰瘍(かいよう)が出来てしまう病気です。潰瘍とは、粘膜がただれ、えぐり取られたような状態を意味しています。
胃潰瘍は40歳以上の人に多く見られ、症状としては食後30分~1時間後ぐらいに上腹部痛がでるケースが多いです。
5-3.十二指腸潰瘍
胃と腸の間にある「十二指腸」が、胃酸によって潰瘍を起こす病気です。十二指腸潰瘍は10~20代の若者に多くみられ、胃潰瘍と違って空腹時に上腹部痛が起きやすいです。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍の診断では、バリウムを服用したX線造影検査や、内視鏡検査が行われます。
その他、胃ガンや逆流性食道炎でも、口臭(悪臭を伴う呼気)が出る場合があります。
胃ガンは初期症状が現れにくく、無症状のまま進行するケースも多いです。症状が出る時は、胃痛、胸焼け、食欲不振などがありますが、口臭もその1つだと言えると思います。
胃ガンの予防は定期的に検診を受けることが最も大切です。しかし、そのサインとして「口臭」も出るケースがあることから、日頃からチェックしておくことも有用ではないでしょうか。
また、逆流性食道炎は、胃酸が食道へと逆流してしまう症状です。胃酸が原因で炎症を起こし、胸の痛みや喉の違和感、そして口臭となって現れてきます。
逆流性食道炎を防ぐためには、食べ過ぎやお酒の飲み過ぎを控えること、ストレスを溜めないことが大切です。
6.胃からくる口臭を防ぐために出来ること
胃が原因の口臭を防ぐためには、まずは上の章で書かせて頂いた「口臭を発生させる病気」を治療することが大切です。
がまん強い方は症状が出ていても我慢してしまい、自分が胃の病気を患っていることすら気付いていないかもしれません。
根深い口臭は、胃の病気のアラームにもなりえます。その他、胃に異変を感じた場合でも、まずは胃の病気を疑い、医師の診察を受けることが必要ではないでしょうか。
そして胃が原因の口臭を予防するためには、以下の点も大切です。
1.お酒の飲み過ぎを控えること。
2.食事の栄養バランスに気をつけて、食べ過ぎに注意すること。
3.脂肪分や塩分が多い料理、辛い料理は胃への負担が大きいので食べ過ぎないこと。
4.可能な限り良質な睡眠を取り、適度な運動も日常に取り入れること。
5.できるだけ心配ごとを減らし、ストレスた溜まったら趣味等で発散すること。
これらは胃の病気予防に有効であり、結果として胃からくる口臭の予防にもつながります。
7.まとめ
口臭の9割は口腔(口内)が原因だと言われていますが、胃からくる口臭は私たちが思っている以上に根深いものです。
臭いが強いだけでなく、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ガンなどの病気が隠されている危険性があります。
このためもし胃の不調を感じた時は決して無理をせずに、早めに医師の診断を受けることが、一番望ましいです。
1度医師の診察を受けることで、「こういう症状の時は、こんな病気になるんだな」という経験値も養えます。
まずは胃の病気を治して、そして再発させないように、前向きに生活していきましょう!
最後までお読み頂き、誠にありがとうございます。