鼻の重要な役割について
鼻は「においを感じる(嗅覚)」という感覚器としての役割がある一方で、「呼吸器」としても重要な役割を果たしています。
いずれも人間が生きるためには必要な役割ですが、より生命に直結しているのは、呼吸器としての機能です。
万が一呼吸器に障害が発生してしまえば、身体は十分に酸素を取り込むことができずに、いろいろな弊害が出てしまいます。
そこで今回は、においを感じる「鼻」の本当に役割を見ていきたいと思います。
鼻は私たちが思っている以上に大切な役割を果たしているので、ぜひご一読頂ければ幸いです。
1.空気中に含まれている有害物質(細菌や埃など)をシャットアウトする。
晴れた日にカーテンを開け、部屋のお掃除をしている時。空気がキラキラ光って見えることがありませんか?
何となくキレイに見えるので無害に思われがちですが、これは埃だけでなく、細菌やウイルス、花粉などの様々な有害物質が舞っている証拠です。
また寒い日に息を吐くと、水蒸気が白く見えます。これも埃や細菌などの有害物質が空気を舞っている証拠で、これらを核にして水蒸気が作られています。空気がきれいな北極や南極では、息を吐いてもこのような水蒸気は出来ないそうです。
私たちは常に、このような有害物質を含む空気を吸い続けています。
この有害物質を体内に取り入れないようにしているのが、鼻です。鼻の中には鼻毛が生えていますし、鼻の中の粘膜はどろっとした粘液で覆われています。
鼻から入り込んだ空気中の粒子は、まずは鼻毛でキャッチされます。しかし、鼻の穴は隙間も多いです。鼻毛をかいくぐっていった粒子は、今度は粘液層で捕らえます。
粘液層には線毛が生えており、まるでベルトコンベアーのように、先端に付いた粒子(埃や細菌など)を奥の方へと追いやっていきます。これはやがて粘液と一緒に胃に運ばれ、胃酸によって無害なものへと変わっていきます。
つまり、呼吸によって鼻の中へ入った有害物質(埃や細菌)は、鼻毛や粘液層によってしっかりとシャットアウトされているのです。
2.外界がどのような状態であっても、肺の中の環境を一定状態に保つ。
鼻はなんと、肺における空気清浄機のような役割も果たしています。
肺の中は、常に湿度100%、温度約37度に保たれています。真冬で外の気温が氷点下だったとしても、肺の中の環境は変わりません。
呼吸によって酸素はすぐに肺に取り込まれるのに、どうして一瞬にして変化してしまうのか。その理由は、鼻甲介(びこうかい)という複数の突起が活躍しているからです。
鼻甲介は鼻腔(びくう)の中にあり、突起状なので広げるとかなりの面積になります。このため一瞬にして温度と湿度を変化させてしまいます。これはある意味、人体の神秘と言えるかもしれません。
3.肺の活動を活発化する。
鼻呼吸は、口呼吸よりも取り入れられる酸素の量が多いそうです。肺に出入りする空気量だけでなく、呼吸の回数も増えると言われています。
その理由は、鼻の粘膜が「センサー」の役割を果たしており、神経反射によって肺の活動を活発にしているからです。
さらに鼻腔や副鼻腔の粘膜では、一酸化窒素が作られています。一酸化窒素は毛細血管を拡張させる働きがあり、肺で取り込まれた酸素を、全身へ運ばれやすくしています。
つまり鼻呼吸は、肺から全身への血のめぐりも良くする働きがあるのですね。
においを感じる鼻は、呼吸器としても本当に大切な役割を果たしていることが解かります。